25歳以降では胃がん、大腸がん、子宮頸がん、乳がんといった成人に多いがんが増加するといわれていますが、15歳から25歳前後に発症するがんは白血病、悪性リンパ腫など小児に多いがんが上位を占めます。そのため、特に小児に多いがんは成人科では診断に苦慮する例がみられます。遷延する発熱や遷延する疼痛、貧血、出血傾向は白血病に多い初発症状であり(図1)、これらの症状がAYA世代にみられた場合は白血病を鑑別疾患に挙げて頂き、骨髄検査を始めとした検査を行うことが重要と思われます。発熱・貧血・出血・疼痛(下肢)の痛みを訴えた場合は、当院にご紹介いただければ骨髄検査を始めとした検査を実施します。
当院は小児科で診療する血液腫瘍疾患の年齢上限を2005年から18歳に、2017年から20歳に設定し、AYA世代の血液腫瘍性疾患の治療を多く経験しています。特に小児型の治療を用いたALLでは5年生存率93%と非常に良好な成績が得られています。また、近年は血液腫瘍科と連携を取り、20歳以上のAYA世代に対しても連携して治療にあたっています。
AYA世代で課題とされる学習支援に関しましても近隣の特別支援学校と連携を取り、遠隔技術を用いた学習支援をいち早く取り入れております。学習支援により、高校生が留年することなく復学しております。
晩期合併症は長期的な外来通院(Long term follow up: LTFU)により小児がんを治療した病院で診断されることが求められますが、LTFUが途絶えるために晩期合併症と診断されていない小児がん経験者がみられるのも事実です。
また、晩期合併症は症状が出現しても小児がん経験者もしくは医療者の理解によっては晩期合併症と診断され得ないことが問題点として挙げられます。特に代謝内分泌疾患については、体調不良の原因と晩期合併症との関連に気づかれず、適切な診療科の受診機会を逸してしまうことが少なくありません。
晩期合併症には図2に示すように多様な臓器の疾患を発症します。中でも、内分泌疾患は晩期合併症で最多の疾患です。晩期合併症としての内分泌疾患は図3に⽰すように多様な症状を⽰しますが、特に、意欲の低下、疲れやすいといった一見して不定愁訴のような症状を訴えることが少なくありません。そこで、AYA世代の⽅が図3に示すような症状を訴える場合は、晩期合併症としての内分泌疾患をまず疑うことが重要となってきます。代謝内分泌疾患は⾒逃されやすい一方で適切な治療により改善が期待できる疾患であり、少しでも疑われる場合は積極的に専門機関へ紹介する必要があると考えられます。当院にご紹介いただく際は、20歳までなら小児科、21歳以上は内科にご紹介ください。
当院小児科は各専門医による専門外来があり、専門性の高い診療を受けることが可能ですが、特に血液腫瘍(血友病含む)については多数の専門医を有し、千葉県全域のみならず茨城県からも患者さんを受け入れています。
AYA世代がん(白血病、リンパ腫)が疑われる症例、小児がん晩期合併症でお困りのことがございましたらお気軽に当院までご紹介ください。