当院に勤務する医師は、当院の理念・基本方針、患者さんの権利、職業倫理、及び本業務指針に基づいて、さらには千葉県における唯一の赤十字病院として日本赤十字社の理念のもと、地域医療に貢献し、救急医療、がん診療、感染対策及び治療、生活習慣病の予防や介護の支援、災害時における国内外への医療チーム派遣など、様々な活動を通じて社会に貢献しなければならない。
診療上の方針
- 総合病院としての機能を最大限に発揮した診療を提供する。
- 地域の医療機関等と綿密な連携に基づく診療を提供する。
- 複数の専門医からなるチームとして、診療を担当する。
- 新たな治療、研究を行う際には、倫理委員会の審議を経て院長の許可を得る。
- 医師、コメディカル、医療安全推進室のスタッフは、連携して医療の質の向上にあたる。
- 患者対応マニュアル、診療録記載の手引等の診療に必要なマニュアルを基本として診療を行う。
主治医と担当医
- 主治医は、内科系では2年間の初期臨床研修を修了したもの、外科系では初期臨床研修後さらに2年間の所属科研修を修了したもので、且つスタッフが主治医としての能力を有すると認めたものとする。
- 担当医は、主治医の指示と指導の下で患者の診療に当たる。
- 担当医は、主治医と常に緊密に連携を図りながら診断の手順、治療方針、退院時期等を決定し、重大な病状の説明や治療方針などは、主治医の同席の下、文書を以って十分な説明を行い、同意を得る。
- 担当医は、未経験ないし経験の浅い侵襲的医療行為(中心静脈穿刺、腰椎穿刺、胸腔穿刺、腹水穿刺、気管内挿管など)を行う際は、必ず主治医その他の上級医(主治医資格を有する医師)の指導・立会いのもとに行う。 また、抗がん剤、インスリン、その他の危険薬を処方・変更する場合には、主治医その他の上級医の指示・指導の下に行う。
チーム医療の遂行
- 診療科の部長、副部長、主治医、担当医、および初期臨床研修医は、協力して患者の診療にあたる。診療チームまたは診療科としての意思決定は、医療の質の向上と安全性の確保に不可欠である。
(1)部長は、少なくとも週1回は入院患者を回診し、個々の医師の診療情況を把握して、助言と指導を行う。部長が不在のときは、副部長が代行する。
(2)部長、副部長は、主治医および担当医の病棟における診療活動が円滑に行われるように補佐する。
(3)部長、副部長は、外来における診療が円滑に行われるように活動する。
(4)部長、副部長は、コメディカルスタッフとの連携がスムーズに行えるよう環境を整える。
(5)主治医、担当医および初期臨床研修医は、毎日担当患者を診察して病状を把握し、所見を診療情報録に記載するとともに、患者の要望に誠実に対応する。
(6)初期臨床研修医は、常に上級医または指導医の下で診療行為を行う。
- 医師は、コメディカルスタッフと協力して質の高い医療を提供しなければならない。医師は、コメディカルスタッフからの診療要請に対して速やかに対応し、結果をコメディカルスタッフと共有する。
- 医師は、コメディカルスタッフからの情報を最大限に活用し、倫理的配慮のもとに患者の権利を尊重し治療に当たらなければならない。
緊急時の対応
- 部長、副部長、主治医、および担当医は、可能な限り連絡先を明らかにしておく。
- 主治医および担当医は、深夜、休日を問わず、緊急的な連絡を受けたときは、出勤して診療にあたることが望ましい。主治医または担当医が対応できない場合には、当該診療科の他の医師が診療業務を遂行しなければならない。他診療科の医師は、依頼があれば可能な限りすみやかに診療を行う。
診療方針の決定
- 部長は、主治医、担当医、その他の医師を含めて少なくとも週1回はカンファレンスを開催して、すべての患者の診療方針を討議・決定する。主治医および担当医は、決定した診療方針にしたがって診療を遂行する。
- 部長は、患者に侵襲を伴う診療行為(手術、検査等)を行う場合、あらかじめカンファレンスを開催して診療方針を討議・決定する。必要に応じて他診療科の医師またはコメディカルスタッフの意見を聞き、診療方針決定の参考にする。
- 医師は、予定の診療行為が適切でないと判断したときは、カンファレンス等でその旨を表明しなければならない。
- 主治医および担当医は、担当患者の病状に変化を認め、診療方針の再検討が必要になり、かつカンファレンスで討議する時間的余裕がないときは、部長、副部長と討議して診療方針を変更する。
- 主治医または担当医は、診療方針および診療計画を患者に伝える。変更になったときもその理由と変更後の診療方針を説明する。担当医が行う際は、主治医が同席する。
- 緊急時は、診療にあたる医師の裁量に委ねられるが、その対応については事後に、部長、その他の医師を含めたカンファレンスで検討する。
説明と同意の取得
- 医師は、患者本人に対して患者の病状、診療計画、検査結果、治療内容等を適宜説明しなければならない。小児や意識障害、知的障害、精神的問題を有する患者、あるいは説明することが診療上有害と判断される患者には、保護者(または代理人)に十分に説明して理解を得る。
- 医師は、患者に侵襲を伴う診療行為(手術、検査等)を実施するときは、病状を説明するだけでなく、当該診療が必要な理由、具体的な内容、予想される身体障害と合併症、実施しないときに予想される結果、他の手段とその利害得失、実施後の一般的経過等を説明し、同意を得なければならない。ただし、緊急事態で同意を得る時間的余裕のないときは、この限りでないが、事後に説明し同意を得る。
- 医師は、患者に重要な説明を行うとき、患者が信頼する家族の同席を求める。また、医師以外のコメディカルスタッフの同席の下で説明を行う。
- 医師は、経験の少ない診療行為を実施する際には、その旨を患者に伝え、準備情況を説明する。患者が希望するときは、経験豊かな医療機関を紹介する。
- 医師は、同意書に署名を求めるときは、患者が他医療機関の医師の意見(セカンドオピニオン)を聞くことができること、その際には必要な資料を提供することを伝える。
- 医師は、説明直後に同意書に署名を求めることを極力避ける。患者が家族あるいは知人と十分に相談できるよう配慮する。
- 医師は、説明する際には、患者、家族の気持ちを十分に配慮し、言葉遣い、プライバシーの保護に注意する。
記録
- 主治医は、入院診療計画書に担当患者の診療計画等を記載して患者に説明する。
- カンファレンス等が開催された際には、議事録を作成する。議事録には、日時、場所、出席者と欠席者、および討議内容を記載する。
- 医師は、侵襲を伴う診療行為(手術、検査等)の施行にあたり、患者から同意を得るときは、その詳細な説明内容を診療情報録に残す。
- 医師は、患者を診療したとき、所見等を速やかに診療情報録に記載する。患者や家族へ開示することを考えて平易な日本語で記述する。
- 医師は、患者、家族に説明した際、その内容を平易な日本語で記述する。
- 患者退院後は、2週間以内に退院時サマリを作成する。
患者死亡時の対応
- 医師は、患者が死亡したとき、遺憾の意をもってその旨を家族へ伝える。
- 医師は、患者の家族に死因について可能な限り説明しなければならない。
- 医師は、診療結果を検証するため、患者の家族に病理解剖を提案することが望ましい。
- 医師は、異状死が疑われるとき、当該診療科の部長を通して速やかに医療安全推進室へ報告する。病院長が異状死と判断したときは、24時間以内に所轄警察署へ連絡して、死因の解明を警察にゆだねる。
診療指針と成績の公表
- 部長は、当該診療科が扱っている主要疾患についての診療指針を明文化して公表する。ただし、診療指針に定めた診療行為は、あくまでも選択肢の一つであって、他の選択肢を提示せずに患者に押しつけてはならない。
- 部長は、主要疾患についてのデータベースを作成し、期間を決めて診療成績等を評価した上で、学会および学術雑誌等に公表して医学の進歩に寄与するとともに、診療の質の向上に役立てなければならない。
- 部長は、当該診療科の診療の質を高く保つために扱っている主要疾患についての情報を収集し、医師やコメディカルスタッフと共有する。
2013年9月作成
2018年6月改定