当科について
初診患者の受付時間 |
月曜日・火曜日・木曜日・金曜日 |
---|---|
初診時の紹介状について |
必ずご持参ください。 |
初診予約について |
初診予約は行っておりません。 |
特色
成田赤十字病院耳鼻咽喉科は小児から高齢者までの耳鼻咽喉科領域疾患全般に対応し、手術数も年間300例から400例と豊富な実績があります。
当科は東総地域・茨城県南部から外房方面までのかなり広い範囲をカバーしているため、外来診療は完全紹介制とさせていただき、緊急入院や手術が必要な症例や悪性疾患(癌)を中心に診療しています。
外来は常に混雑していますが、迅速かつ正確な診断と丁寧な説明を心掛けています。また病診連携(役割分担)に力をいれ、病状が落ち着いていたり手術を必要としないような患者さんに関しては近隣のかかりつけ診療所へご紹介しています。
入院・手術については麻酔科、内科などの院内他科と協力し、確実な治療効果が安全に得られるよう常に努力を欠かしません。看護師など病棟スタッフとの連携も良好です。また入院期間の短縮に努力しており、他の病院と比べて短い日数で日常生活に戻れる傾向があります。加えて当院は3次救急救命センターを有し地域の救急医療の要であるため、耳鼻咽喉科も重症感染症・外傷・異物・突発性難聴・顔面神経麻痺など緊急入院数が多いのも特色のひとつです。輸血を必要とするような重篤な鼻出血も年に数例経験しています。
このように非常に多忙な勤務状況ですが、毎年全国学会を含め年に数回の学会発表を続けています。学会の動向や新しい治療法などをチェックすることは当然ですが、最新の情報を発信することにより自分たちの診療レベルを客観的に検証する姿勢を保てると考えているからです。後期研修医の募集も随時しておりますので、興味のある方は後期研修プログラムの内容をご参照ください。
認定施設
- 日本頭頸部外科学会頭頸部がん専門医制度基準認定施設
- 日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会専門医制度関連施設
スタッフ紹介
第一耳鼻咽喉科部長 根本 俊光

専門分野
中耳手術、頭頸部腫瘍、甲状腺外科
資格
- 日本耳鼻咽喉科学会認定耳鼻咽喉科専門医・専門研修指導医
- 頭頸部がん専門医・指導医
- 日本内分泌外科学会認定内分泌外科専門医
耳鼻咽喉科副部長 新井 智之

資格
- 日本耳鼻咽喉科学会認定耳鼻咽喉科専門医
医師 松島 可奈
- 日本耳鼻咽喉科学会認定耳鼻咽喉科専門医
医師 須藤 智美
外来担当医表
診療受付時間:午前8時30分から午前11時(自動再来受付機による再診受付は午前7時30分から)
区分 |
月曜日 |
火曜日 |
水曜日 |
木曜日 |
金曜日 |
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初診・再診 |
根本 俊光 須藤 智美 黒崎 元良 |
新井 智之 松島 可奈 大学医師 |
― |
根本 俊光 新井 智之 松島 可奈 |
交代制 大学医師 |
注意事項
- 当科は初診完全紹介制となります。
- 都合により担当医が変更になる場合があります。
主に取り扱っている病気と診療実績(平成29年度)
手術件数
手術内容 |
平成26年度 |
平成27年度 |
平成28年度 |
平成29年度 |
---|---|---|---|---|
鼓室形成術 |
42例 |
49例 |
63例 |
60例 |
鼓膜形成術 |
10例 |
5例 |
||
内耳窓閉鎖術 |
3例 |
7例 |
6例 |
7例 |
顔面神経減荷術 |
0例 |
3例 |
5例 |
3例 |
アブミ骨手術 |
1例 |
0例 |
0例 |
0例 |
鼓膜チューブ挿入術 |
4例 |
7例 |
3例 |
5例 |
その他中耳手術 |
3例 |
4例 |
12例 |
8例 |
耳瘻管摘出術 |
3例 |
4例 |
||
その他外耳手術 |
1例 |
3例 |
||
内視鏡下鼻副鼻腔手術 |
44例 |
50例 |
43例 |
54例 |
鼻中隔矯正術・下甲介手術 |
15例 |
17例 |
15例 |
15例 |
その他鼻副鼻腔手術 |
6例 |
1例 |
0例 |
3例 |
口蓋扁桃摘出術・アデノイド切除術 |
22例 |
29例 |
35例 |
36例 |
顎下腺摘出術 |
3例 |
9例 |
5例 |
6例 |
耳下腺腫瘍摘出術 |
12例 |
23例 |
22例 |
16例 |
その他口腔咽頭良性手術 |
9例 |
15例 |
7例 |
7例 |
喉頭微細手術 |
29例 |
42例 |
32例 |
25例 |
喉頭形成術・被裂軟骨内転術 |
6例 |
0例 |
2例 |
0例 |
嚥下改善手術・誤嚥防止手術 |
1例 |
1例 |
0例 |
0例 |
気管切開術 |
17例 |
19例 |
29例 |
23例 |
甲状腺良性手術 |
16例 |
29例 |
22例 |
32例 |
副甲状腺手術 |
3例 |
3例 |
3例 |
5例 |
甲状腺悪性手術 |
27例 |
12例 |
22例 |
17例 |
リンパ節摘出術 |
19例 |
18例 |
30例 |
29例 |
頸部良性手術 |
6例 |
10例 |
12例 |
3例 |
頸部郭清術(単独) |
9例 |
6例 |
7例 |
4例 |
深頸部膿瘍手術 |
1例 |
4例 |
2例 |
5例 |
その他頸部手術 |
9例 |
20例 |
14例 |
13例 |
口腔癌手術 |
5例 |
7例 |
1例 |
11例 |
唾液腺癌手術 |
0例 |
3例 |
1例 |
1例 |
咽頭癌手術 |
4例 |
3例 |
3例 |
3例 |
喉頭癌手術 |
3例 |
6例 |
6例 |
3例 |
合計 |
333例 |
409例 |
402例 |
394例 |
解説
中耳手術は慢性中耳炎、真珠腫性中耳炎に対する鼓室形成術(小児例も含む)が多くを占め、外傷(頭部外傷や耳かき外傷)後難聴の取り扱いにも精通しています。高齢者や良聴耳に対する低侵襲な鼓膜形成術も2泊3日、局所麻酔で施行でき、中耳手術全体で年間約70例を数えます。
また埼玉医科大学、日本医科大学の協力を得て、外リンパ廔症例における内耳特異タンパク(CTP)の定性検査も実施できます。これにより、急性感音性難聴や気圧外傷(突発難聴)の患者さんの中で、ステロイド投与など保存的治療に反応しない方に手術を行い、外リンパ廔の確定診断と良好な術後聴力が得られています。
顔面神経麻痺は平均して月10人ほどの方が来院され、基本的に8日間入院の上精密検査と治療を行います。治癒率は約95%と良好ですが、後遺症が予測されれば障害を軽減する目的での手術を行ったり形成外科と連携してサポートをしています。
鼻・副鼻腔手術は年40例から50例、ほとんどが内視鏡下で体に負担をかけない手術を心掛けています。慢性副鼻腔炎、鼻茸、副鼻腔真菌症、良性腫瘍、歯性上顎洞炎などが対象で、入院期間は平均5日から6日です。Powered deviceやナビゲーションシステムを用いたDraf手術や鼻内上顎洞手術(EMM)にも対応可能で、鼻性頭蓋内合併症や眼窩吹き抜け骨折、球後視神経炎に対する緊急手術も経験されます。また鼻中隔矯正術など鼻閉の改善手術も積極的に施行します。
扁桃手術については成人では慢性扁桃炎による炎症の反復が最も良い手術適応と考えています。小児ではこれに加えていびきなどの睡眠時呼吸障害に対するアデノイド・口蓋扁桃切除術を受ける方が多い現状です。合併症としての術後出血の頻度は約1%から2%です。
声帯ポリープや喉頭腫瘍に対して行う喉頭微細手術(microscopic laryngeal surgery)も多数取り扱っています。甲状腺、食道、肺や大動脈の手術後に声が嗄れる喉頭麻痺については、喉頭形成術、被裂軟骨内転などの音声改善手術を行い良好な成績を得ています。
嚥下障害に対しても院内NST(栄養サポートチーム)や認定看護師とともに、病態評価やリハビリテーション指導、手術適応検討などの役割を担っており、誤嚥により栄養障害、肺炎の反復などがある場合には嚥下改善手術や誤嚥防止手術を提案することもあります。
唾液腺疾患は腫瘍、血液疾患、結石、特殊な感染症、薬剤性、代謝異常、アレルギー、自己免疫疾患など多彩で、他科との連携を図りながら診断・治療にあたってます。特に耳下腺腫瘍は年間に20例から30例の手術を行っており、良性腫瘍であれば顔面神経の機能温存を、悪性であれば十分な拡大切除と神経機能再建をテーマに取り組み優秀な実績をあげています。
甲状腺、副甲状腺手術も当科のメインテーマのひとつです(内分泌・甲状腺外科学会認定専門医制度関連施設)。甲状腺結節については超音波検査、細針吸引細胞診を中心に診断を行い、悪性が疑われる例や長径3cmを超える腫瘤では手術をお勧めしています。リンパ節転移や気管浸潤を伴う進行甲状腺癌であっても、拡大根治手術やヨード治療などにより多数の長期生存が得られています。当院放射線科の協力により外来アブレーションも施行しています。また当科は甲状腺未分化癌研究コンソーシアムに参加しており、極めて予後の悪い甲状腺未分化癌の治療成績を向上させるべく、臨床試験などに取り組んでいます。
原発性副甲状腺機能亢進症は尿路結石や高カルシウム血症で発見される疾患ですが、手術治療を行う場合単腺の腺腫であれば傷が小さく合併症も少ない focused approachを選択します。2015年5月から院内で副甲状腺ホルモンの術中迅速検査ができる体制が整い、これにより従来と比べ良好な手術効果が得られています。
舌がん、喉頭がん、咽頭がんなどの頭頸部がんでは形成外科との連携により腫瘍切除と一期的再建が可能であり、審美的にも機能的にも患者さんの社会復帰まで見据えた治療を行っています。
早期がんであれば放射線治療で癌の根治と機能温存の両立を目指し、必要に応じて抗がん剤も併用します。残念ながら末期がんの場合は在宅での緩和ケアを支援するほか、希望により緩和ケア病棟の利用が可能です。
最近では切除不能進行がんや遠隔転移を有する場合でも、分子標的薬を使用することでがんによる症状が緩和されたり、余命を伸ばす効果が確認されており、当科では積極的にこの治療に取り組んでいます。
その他
学会発表について
学会発表の実績(2013年から2016年)
【2016年】
- 【他科に学ぶ形成外科に必要な知識-頭部・顔面編-】耳鼻咽喉科 耳下腺腫瘍の診断と治療
- アパセラムによる乳突充填後、充填材料の露出と難治性肉芽腫を生じ再手術を施行した1例
- 甲状腺未分化癌に対するweekly paclitaxelによる化学療法の認容性、安全性に関する前向き研究
- 線維素性唾液管炎と診断した10例
- BP剤関連顎骨壊死とMTX関連リンパ増殖性疾患を併発した関節リウマチの1例
【2015年】
- HBV活性化予防の為、エンテカビルを併用してpalliative biochemotherapyを施行した中咽頭癌の1例
- 甲状腺吸引細胞診後の頸部腫脹例と千葉県内でのアンケート調査
- 巨大な頸部嚢胞で発症した甲状腺乳頭癌の2症例
- 術前検査にてある程度病態が予測できた外傷性アブミ骨固着症例
【2014年】
- セツキシマブ併用化学療法が有効であった顎下腺癌再発、肺転移症例
- セツキシマブ併用化学療法後に気胸を生じた咽頭癌多発肺転移の2症例
- 頭頸部癌放射線治療後の頸動脈狭窄病変についての検討
- 術後聴力成績判定基準2010年案により評価した当科の鼓膜、鼓室形成術の成績
【2013年】
- 難治性感染症を伴った好酸球性中耳炎症例
- 頭頸部癌頸部転移に対する根治的化学放射線療法の治療効果に関する検討
論文発表について
論文発表の実績(2013年から2016年)
【2015年】
- 心筋炎と扁桃周囲膿瘍で発症したリウマチ熱の1例
- 労作時の咽喉頭異常感症で発症した虚血性心疾患(三枝病変)の1例
- 治療中に聴力の変動、悪化がみられた急性感音難聴の検討
【2014年】
- 尋常性天疱瘡として加療した口腔咽頭の難治性びらん・潰瘍の4例
専門施設との連携
以下の疾患については県内の専門施設との連携をとっています。
- 新生児・乳児の内耳障害や3歳未満の扁桃手術など特殊な小児疾患:千葉県こども病院
- 成人の睡眠時無呼吸症候群:山王病院
- 難治性のめまい症例:東邦大学佐倉病院
- 頭蓋底切除を要するような超進行癌の根治手術など:千葉大学付属病院、国立がんセンター東病院