令和３年度　病院指標

内科では、消化器内科、循環器内科、血液腫瘍内科、呼吸器内科、糖尿病代謝内科、腎臓内科、リウマチ内科、アレルギー内科を標榜しており、最も多い症例は頻脈性不整脈に対するカテーテルアブレーションです。その他にも、循環器内科では虚血性心疾患、心不全、末梢動脈疾患、肺血管・静脈疾患といったあらゆる心臓血管疾患に対する治療を行っています。心臓血管疾患の多くは侵襲的治療後も長期的な薬物治療や経過観察が重要になるため、地域の開業医の先生方とも連携しながら、定期的に当院での専門的な評価を加えさせていただくことで、慢性期も安定した医療の提供を心掛けています。

小児科で最も多い症例は、急性白血病です。血液腫瘍（血友病含む）については、多数の専門医を有し、血縁のみならず骨髄バンク・臍帯血バンクを介した造血幹細胞移植も毎年多数施行しており、千葉県屈指、全国でも有数の規模を誇っております。
また、0歳から20歳（満21歳未満）のあらゆる内科疾患に対応しております。日本小児科学会では、成育医療の観点から、子ども達が「成人するまで」診療することを推奨しており、当院においても全国に先駆け、米国と同じ対象年齢にしています。

外科で最も多い症例は、鼠径ヘルニアです。
千葉県北総地域の基幹病院として、手術件数は年々増加傾向にあります。取り扱う疾患は消化器の悪性腫瘍が主体となりますが、腸閉塞、胆嚢結石・胆嚢炎、虫垂炎・大腸憩室炎、鼠径・腹壁ヘルニア、痔核・痔瘻などの消化器関連の良性疾患などに対しても幅広く対応しており、特に消化管穿孔などの急性腹症、腹部外傷など救急疾患に対しては24時間体制にて対応しています。

整形外科で最も多い症例は、高齢化に伴う骨粗鬆症などの影響により発症する大腿骨近位部骨折です。効率的なリハビリを行えるように地域連携パスを導入しているため、平均在院日数も短くなっています。また、関節外科では最小侵襲手術が導入され、人工膝関節では両側罹患例に対する同時手術も行っています。人工股関節では筋肉を切断しないアプローチにより非常に回復も早く、症例によっては術翌日に歩行可能となって患者さんに喜ばれています。新しい取り組みとしては膝関節の軟骨損傷に対する軟骨修復術、自家軟骨細胞培養移植術、再生医療のひとつである多血小板血漿（platelet-rich plasma, PRP）による治療を開始しています。

泌尿器科で最も多い症例は、前立腺の悪性腫瘍です。当院では、前立腺がんに対する根治的治療として、「ダビンチ」によるロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘術を行っています。「ダビンチ」は、３次元の拡大視野で人の手の動きを繊細に再現できるロボットアームを用いて実現できる最先端治療です。
また、腎がん、腎盂・尿管がん、副腎腫瘍に対しては、腹腔鏡下手術を行っています。当科では、オリンパス社製の３D腹腔鏡カメラを導入しているため、立体的に臓器をとらえることができ、より安全に手術を行うことが可能です。その他にも、総合病院としての強みを生かし、他診療科と協力し、他科との境界領域の疾患や他科疾患を合併している方の疾患も治療しています。

脳神経外科で最も多い症例は、非外傷性頭蓋内血腫です。また、破裂脳動脈瘤、脳動静脈奇形、脳出血などの急性期出血性疾患の外科的治療を中心に、頚動脈狭窄症、頭蓋内動脈狭窄・閉塞などの慢性期脳血管障害に対して内膜剥離術やバイパス手術を数多く行っています。血管内治療では、2015年10月に運用を開始した脳卒中ホットラインで脳梗塞超急性期の搬送が増加し、結果として血栓回収療法、急性期頚動脈ステント留置の症例数が増えています。脳血管障害だけではなく、頭部外傷、脳腫瘍（髄膜腫、聴神経腫瘍、下垂体腫瘍などの良性疾患、神経膠腫、転移性脳腫瘍などの悪性疾患）、特発性水頭症、半側顔面けいれん、三叉神経痛などの脳神経外科疾患ほぼ全てに対応しています。

産婦人科で最も多い症例は、子宮の良性腫瘍です。良性疾患に関しては、体への侵襲が少なく入院期間の短い低侵襲手術（一般腹腔鏡、子宮鏡、ロボット）を積極的に行っております。婦人科悪性腫瘍については、婦人科腫瘍専門医が常勤しており、より良い患者さんの予後を目指し治療にあたっています。子宮体癌に関しては１期であれば腹腔鏡手術も可能です。治療⽅針に関してはカンファレンスで方針を決定し、患者さんに提示して決定していきます。

耳鼻咽喉科で最も多い症例は、慢性副鼻腔炎です。小児から高齢者までの耳鼻咽喉科領域疾患全般に対応し、手術数も年間300例から400例と豊富な実績があります。当院は3次救急救命センターを有し地域の救急医療の要であるため、耳鼻咽喉科も重症感染症・外傷・異物・突発性難聴・顔面神経麻痺など緊急入院数が多いのも特色のひとつです。

脳神経内科で最も多い症例は、脳梗塞です。外来は2診制で、頭痛、めまい、てんかんなどの機能性疾患から、パーキンソン病、多系統萎縮症などの神経難病まで幅広く診療しています。入院では虚血性脳血管障害の急性期治療、脳炎・髄膜炎などの炎症性神経疾患、ギラン・バレー症候群・多発性硬化症などの神経免疫性疾患、神経難病の合併症治療などを主に診療しています。

呼吸器外科で最も多い症例は、肺の悪性腫瘍です。呼吸器の手術としては、体に負担が少なく、肺機能温存を目指した手術を心掛けています。低侵襲手術としての完全胸腔鏡下手術あるいはHybrid 胸腔鏡下手術(大部分が、切開創6-10㎝)を行っています。肺がん手術の標準である肺葉手術においても手術侵襲が軽くなり、高齢の患者さんも術翌日には歩行が可能です。禁煙の徹底と理学療法士の協力によるCOPD合併肺癌患者さんに対する気管支拡張薬投与、術前の呼吸器、運動リハビリを行うようになり術後肺炎もほとんどいなくなり、10日間程度の入院で退院されています。

眼科で最も多い症例は、白内障です。ほとんどの場合、超音波を用いた小切開手術により手術の翌日から良好な視力を得られます。基本的に局所麻酔で行いますが、精神神経疾患などのために術中の安静に不安がある場合は患者さんと御相談のうえで全身麻酔でも行っています。全身的に問題がなければ、手術は外来でも入院でも可能です。緑内障については、早期発見が最重要と考えており人間ドックや一般診療での視神経乳頭や隅角の検査を行い、OCT（光干渉断層計）による眼底検査も併用して初期の緑内障も見落とさないよう勤めています。

心臓血管外科で最も多い症例は、解離性大動脈瘤です。 当院では、血管内治療内科と連携して、成人の心臓血管外科領域のほぼ全ての疾患に対して最新の治療を行っています。地域の中核病院として、救急部と連携し、緊急疾患（急性大動脈解離、胸部・腹部大動脈瘤破裂、急性心筋梗塞合併症である左室破裂、心室中隔穿孔、急性僧帽弁閉鎖不全 等）に対し、緊急手術対応をしています。また、弁膜症手術では手術後の生活の質の向上を目指し、自己弁を温存した弁形成手術を行っています。

形成外科で最も多い症例は、顔面損傷、皮膚の良性新生物・皮膚、皮下腫瘍摘出術です。形成外科が取り扱う疾患は多岐にわたっており、その上で特に、顔面、手指などの外傷や、熱傷などに代表される救急診療を数多く行っていること、Microsurgery（顕微鏡を用いた手術）を積極的に運用している事が特色です。

皮膚科で最も多い症例は、膿皮症です。当院は、皮膚悪性腫瘍を含む、ほぼすべての皮膚疾患に対応しています。また、陰圧個室管理が可能な感染症病棟を備えており、汎発性帯状疱疹や水痘などの入院を要する感染性皮膚疾患の患者さんも受け入れています。

小児外科で最も多い症例は、鼠径ヘルニアです。