「ダビンチ」を使った手術は腹腔鏡手術の一種で、大きな切開をせずお腹に数ヶ所穴を開け、そこに内視鏡カメラや微細な手術用鉗子を差し込んで手術を行います。医師は操作席に座り、カメラで写し出された腹部内や患部の3D画像を見ながら手元のコントローラーでロボットアームを遠隔操作して手術を行い、ロボットは医師の手の代わりとなり、細かな動きをして医師の技術をサポートします。
手術部位の様子は、操作席の画面に拡大され3Dで鮮明に映し出されるので、術者は状況を正確に把握した上で操作が可能です。ロボットアームの可動域は人間の手より広く、また微小な手ブレも防止するため、術者の指示を忠実に再現することができます。
ロボットアームは7つの自由度を持っているので、人間の手の動きと全く同じ動作をすることが可能です。ロボット手術で使用する鉗子は、腹腔鏡手術用鉗子より可動部が多く、従来の腹腔鏡手術用鉗子では実現不可能な細かい動きが可能です。
内視鏡は右目用の画像と左目用の画像を別々に撮ることができ、術者は立体画像を見て手術を行なっています。従来の2D内視鏡と比較し、遠近感をより正確に感じることができます。
術者はサージョンコンソールという操縦席に座り、ロボットを操作します。手元のハンドルとフットスイッチを用い、4本のロボットアームを直感的に操作することが可能です。
「ダビンチ」による手術は開腹手術に比べ切開部が小さいため、低侵襲な手術です。次のようなメリットがあります。
日本におけるロボット支援手術の歴史は、2012年に前立腺がんに対するロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘術が保険収載されたのが始まりとされています。現在では、多くの病院で前立腺がんに対するロボット手術が行われるようになりました。
当院では、小径腎がんに対するロボット支援腹腔鏡下腎部分切除も積極的に行なっており、機能温存を考慮して治療を行なっています。泌尿器科医、手術室看護師、臨床工学技士らによるダビンチ手術チームは、患者さんの負担を軽減する治療を提供するために、これからも活動してまいります。
この度、従来使用していた手術支援ロボットを、da Vinci Xからda Vinci Xiに更新しました。ロボットアームの配置の自由度が増し、前立腺など骨盤内臓器だけでなく、腎臓など腹部臓器に対する手術が行いやすくなりました。