平成23年3月11日14時46分、宮城県牡鹿半島沖を震源とするマグニチュード9.0の地震が発生しました。国内観測史上最大の地震となり、地震に伴って発生した大津波は、北海道から関東の太平洋沿岸へ押し寄せ、壊滅的な被害をもたらしました。また、地震・津波の被害を受けた東京電力福島第一原子力発電所では、原子炉の冷却機能が失われ大量の放射性物質が放出される重大な事故となり、周辺住民は長期間にわたる避難生活を強いられました。
当院では発災直後から約半年間にわたり、被災地に医療救護班やDMAT、こころのケア班等を派遣し、救護活動を行いました。
2011年3月11日午後2時46分 当院でも大きな揺れを感じ、物の落下・一部漏水などの被害が出ました。(成田市内は震度6弱を観測)被災しながらも5分後には災害対策本部を設置し、日赤の医療チーム「救護班」の派遣準備を進めました。
【県外対応】
全国の日赤のネットワークで調整によって、当院は被害の大きい宮城県石巻市で救護活動を行うことになりました。当院は救護班2個班とDMAT1チームを相次いで派遣。第1救護班とDMATは救急車で、第2救護班は自衛隊のヘリで福島空港まで行き、その後陸路で現地入りしました。
現地では石巻赤十字病院を拠点に救護活動を展開。石巻周辺地域で機能している公的機関は石巻赤十字病院だけであり、ヘリコプターでひっきりなしに重篤患者が運び込まれ、自力で来院されるけが人も多数。石巻赤十字病院のスタッフだけでは到底対応できない数の被災者を、全国から集結した日赤救護班が治療することによって、石巻地区の医療の砦となりました。また、救護班は、津波によって孤立した避難所の巡回診療を開始。避難者の中から治療が必要な方を見つけ出し、自衛隊などと協力して、病院に搬送して救命をしました。
【県内対応】
当院でも大きな揺れを感じ、物の落下・一部漏水などの被害が出ました。(成田市内は震度6弱を観測)被災しながらも5分後には災害対策本部を設置し、日赤の医療チーム「救護班」の派遣準備を進めました。
発災当日に帰宅困難者が多数発生した東京ディズニーリゾートと成田空港に一個班ずつ派遣し、具合の悪い方の救護にあたりました。また、日本赤十字社千葉県支部が災害のために備蓄している毛布やバスタオルなどの救援物資を避難所に配布するなど、千葉県の赤十字関係機関が総力を挙げて救護活動を展開しました。
午後2時46分:東日本大震災発生
午後2時51分:成田赤十字病院災害対策本部設置
午後6時35分:第1救護班7名派遣(石巻市、13日まで)
午後7時30分:救援物資搬送要員3名出動
午後9時31分:第4救護班7名派遣(成田空港、12日まで)
午後9時35分:第3救護班7名派遣(ディズニーリゾート、12日まで)
午前0時41分:第2救護班7名派遣(石巻市、14日まで)
午後1時40分:DMAT5名派遣(石巻市、14日まで)
第5から第10救護班は蛇田中学校(避難所)に設置した救護所を、3月の間運営し続けました。第5・6班はdERU(仮設診療所)を設置し、被災者の救護にあたりました。その後悪天候に見舞われ、診療所機能を校舎内に移転。発災から10日経っても救護所には1日250名を超える患者が診察に訪れ、救急車で病院に搬送しなければならい症例も毎日発生しました。
第5救護班から第10救護班の取り扱い患者数は3,000名にのぼりました。
そして成田赤十字病院の救護班は、日赤内の調整により、4月から宮城県石巻市から岩手県釜石市へと活動の場所を移すことになりました。
また、石巻赤十字病院へ医療スタッフを派遣するなど、救護班以外で職員を派遣しました。3月の派遣人数は総勢88名。
第5・6救護班14名派遣(石巻市、17日まで)
災害対策本部支援要員1名派遣(福島県支部、18日まで)
第7救護班8名派遣(石巻市、19日まで)
石巻日赤支援事務員1名出動
第8救護班8名派遣(石巻市、22日まで)
助産師3名派遣(石巻市、26日まで)
第9救護班8名派遣(石巻市、25日まで)
第10救護班9名派遣(石巻市、28日まで)
2011年4月の当院の救護活動は、岩手県釜石市を中心に展開しました。4月に入ると、被災地も徐々に落ち着きを取り戻し、救護班の活動も、一つの避難所に常駐する救護から、複数の避難所を回る巡回診療の割合が段々と増えていきました。鈴子広場救護所を釜石市における日赤の拠点とし、その救護所運営グループと巡回診療グループに分かれて救護活動を実施しました。当院は石巻日赤への支援も継続し、精神科の医師を派遣しました。当院からの4月の派遣人数は、35名。4月末での総派遣人数は123名にのぼりました。
第11救護班9名派遣(釜石市、9日まで)
医師1名派遣(石巻市、14日まで)
看護師1名派遣(石巻市、14日まで)
事務員1名派遣(石巻市、13日まで)
第12救護班9名派遣(釜石市、18日まで)
医師1名派遣(石巻市、25日まで)
第13救護班7名派遣(石巻市、27日まで)
第14救護班7名派遣(石巻市、5月3日まで)
当院の救護班は4月から引き続き、岩手県釜石市で活動を行いました。鈴子救護所を運営する班と、巡回診療を行う班に分かれて、釜石市及び周辺市町村の被災者を救護しました。被災地の医療機関が復興してきており、第18救護班の派遣をもって、当院の釜石市における救護活動は終了しました。救護班は撤退しましたが、こころのケアチームの派遣は継続することとなりました。
また、当院は、精神科のない石巻赤十字病院(宮城県)を支援するため、精神科医の派遣を継続的に行っています。その他要望に応じて医療スタッフを派遣しました。
精神科医師1名派遣(石巻日赤、8日まで)
第15救護班8名派遣(釜石市、11日まで)
精神科医1名派遣(石巻日赤、14日まで)
看護師1名派遣(石巻日赤、15日まで)
第16救護班8名派遣(釜石市、21日まで)
精神科医師1名派遣(石巻日赤、28日まで)
第17救護班7名派遣(釜石市、30日まで)
精神科医師1名派遣(石巻日赤、18日まで)
第18救護班7名派遣(釜石市、19日まで)
こころのケア要員2名派遣(釜石市、22日まで)
精神科医師1名派遣(石巻日赤、25日まで)
ER支援医師1名派遣(石巻日赤、7月6日まで)
5・6月の派遣人数:39名
総派遣人数:162名
岩手県釜石市における日赤の救護活動は、こころのケアへと移行しました。当院は7月の間にこころのケアチームを2チーム派遣し、その任務を終了しました。
福島県では、放射能汚染により立入禁止区域が設定されましたが、住民の一時帰宅が許可されたことに伴い、赤十字から救護班を派遣することとなりました。そして、当院からは2個班派遣し、立入禁止区域へ入る前と帰ってきた後において、住民の健康チェックをしました。
なお、精神科のない石巻赤十字病院への精神科医の派遣は継続しています。
精神科医師1名派遣(石巻日赤、8日まで)
看護師1名派遣(石巻日赤、14日まで)
ER支援医師1名派遣(石巻日赤、15日まで)
こころのケア要員3名派遣(釜石市、12日まで)
第19班救護班4名派遣(馬事公苑、12日まで)
看護師1名派遣(石巻日赤、8月4日まで)
こころのケア要員2名派遣(釜石市、30日まで)
第20班救護班4名派遣(馬事公苑、8日まで)
精神科医師1名派遣(石巻日赤、12日まで)
精神科医師1名派遣(石巻日赤、9月2日まで)
精神科医師1名派遣(石巻日赤、30日まで)
7月・8月・9月の派遣人数:20名
総派遣人数:182名
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